食べ物が原因かもしれない

あなたは自分に食物アレルギーがあるかもしれないと考えたことはありますか? こうお考えになる方もいらっしゃるでしょう。「これらの食べ物は以前にも食べたことがある。毎日食べ続けた時もあるけれど何の問題もなかった。なぜ私が食物アレルギーの検査を受ける必要があるのか?」と。

食物アレルギーって?

食物アレルギーが言及されたのは、今から約100年前の1905年にさかのぼります。フランセス・ハレ博士(イギリスの環境医学の精神科医)は、痛風や湿疹等のいくつかの症状が食物と関係することを発見しました。そして、その問題の食物を取り除くことで症状が最終的には治ることを発見したのです。多くのパイオニア的学者がハレ博士に続きました。そして、食物アレルギーは、今日でも大きな関心が寄せられている分野です。

食物アレルギーのメカニズム

食物アレルギーは体内で様々な障害の原因となることが知られています。これらの障害はさまざまなメカニズムから発生します。例えば、乳製品を消化できない人がいることをおそらくご存知だと思いますが、この状態のことを「乳糖不耐症」と言い、これはラクターゼという酵素の不足もしくは欠如が原因で発症するものです。他の食物、例えば、チョコレートは気分を変化させる可能性のある化学物質が含まれています。チョコレート中毒(チョコホリックス)という言葉をお聞きになったことがあり、あなたもその一人かも知れませんが、これは食物アレルギーではありません。食物アレルギーとは、食物が誘発する障害であり、免疫と直接的に関係するものだけを指します。

 

奇跡的で複雑な機能である免疫システムについて簡単にお話しましょう。初めに、自分の免疫のことを外部の侵入者から守ってくれる見張り番だとイメージしてください。アレルギーの場合、外部の侵入者のことをアレルゲンといいます。これは、アレルギー反応を誘発し、免疫反応を過剰にすることからそう呼ばれています。見張り番は、抗体を含むいくつかの攻撃方法を持っています。抗体には、毒物を中和し、アレルゲンの排除のための反応を起こす機能があります。あなたが経験する症状は、身体の中でそうした反応が起きていることをあなたの身体が伝えようとしているのです。

 

身体には5種類の異なる抗体があります。最も食物アレルギーと関係する抗体はIgEとIgGの2つです。IgEは、免疫システムの細胞、特に肥満細胞と好塩基球を結合する抗体であり、結果的にヒスタミン放出の原因となります。そして、ヒスタミンは毛細血管拡張と平滑筋収縮を起こして、最終的にその人固有の症状となって現れます。IgEは即時型の反応であり、鼻水や、息苦しさ、じんましん等の症状がすぐに現れます。一方、IgGは遅延型の反応です。症状が発症するまでに3週間かかることもあるため、遅延型反応と呼ばれます。更に、IgGはアレルゲンと直接結合することが出来ます。こうして出来た抗原抗体複合体は、体内組織に沈着し、膝関節痛等の多種多様な症状を誘発します。最近の研究では、IgGはIgEと類似した動作をし得るとするものもあります。 [1] [2] [3]

食物アレルギーの今

大半の人と医師の多くが、いまだに体調不良や健康の衰えが食物に起因していると考えていないことは大きな懸念です。病気の原因を知らない限り、身体の苦しみは続きます。

 

食物アレルギーの発生率は広く争点となっています。10年程前、アメリカの人口の10%は免疫変調の食物過敏の影響を受けていると推定されていました。 [i] そして食物アレルゲンの数は増え続けています。この増加に伴って臨床的適応はさらに複雑な症状に進化しています。 [ii] 症状には個人差があり、サンプルごとに環境も異なり、異なった検査手順によって異なる検査結果につながることから、食物アレルギーを概算するのは容易ではありません。ひとつの症状に悩まされている人、多数の症状に悩まされている人、苦しんでいる人がそれぞれに知りたいのは解決策であって有病率ではありません。

 

いずれの食物アレルギーの症状も非常に多様で多次元的であることに圧倒されます。人は皆それぞれであり、同じ食物アレルギーでも現れる症状が大きく異なることがあります。以下の症状のリストは、あなたの症状が食物アレルギーからきている可能性があるという認識を高めるために作られています。ただし、他の病気が原因である可能性もあるということを心に留めておくことは重要であり、慎重に記録された病歴や検査および臨床試験のみがその二つを区別出来ます。

消化器官 腹部のけいれん、腹痛、口臭、げっぷ、食後の膨満感、鼓腸、吐き気、口蓋後部のかゆみ、嘔吐
神経システム 不安神経症、錯乱、憂鬱、小児の注意欠陥、多動性障害、集中力不足、攻撃的行動、過敏症、情動不安定
筋骨格系 関節炎、関節痛、筋肉痛、だるさ
泌尿生殖器系 夜尿症、頻尿、尿意切迫、膣のかゆみ、おりもの、月経前症候群
呼吸器系 ぜん息、胸部不快、慢性咳、咽頭炎、鼻水、慢性副鼻腔炎
循環系 胸痛、不整脈、高血圧、頻脈
外皮系 アトピー性皮膚炎、にきび、爪と髪の痛み、ふけ、じんましん、ドライスキン、皮膚の蒼白、目の下のくま
その他 過食、慢性疲労、目まい、頭痛、不眠、吐気、むくみ、急激な体重変動、肥満、歯ぎしり

ご覧のとおり、あらゆる症状が食物アレルギーと関係しています。しかし、これらのリストはあくまでも情報の一部にすぎず、考えられる可能性のすべてを網羅しているわけではありません。従って、自分の症状がここに載っていないからといって、自分の症状は食物アレルギーに起因していないとは言い切れないのです。

[1]

Takahashi T, Kitani S, Nagase M, Mochizuki M, Nishimura R, Morita Y, Sasaki N.  IgG=mediated histamine release from canine mastocytoma-derived cells.  Int Arch Allergy Immunol.  2001 Jul;125 (3):228-35.

[2]

Okayama Y, KirshenbaumAS, Metcalfe DD.  Expression of a functional high=affinity IgG receptor, Fc gamma RI, on human mast cells:  Up-regulation by IFN-gamma.  J Immunol.  2000 Apr 15;164(8):4332-9.

[3]

Awazuhara H, Kawai H, Maruchi N.  Major allergens in soybean and clinical significance of IgG4 antibodies investigated by IgE- and IgG4-immunoblotting with sera from soybean-sensitive patients.  Clin Exp Allergy.  1997 Mar;27(3):325-32.

[i]

Opper FH, Burakoff R.  Food allergy and intolerance.  Gastroenterologist.  1993;1(3)211-220.

[ii]

Rance R, Kanny G, Dutau G, Moneret Vautrin DA.  Food allergens in children.  Arch Pediatr.  1999;6(Supp11):61S-66S.