ママになる方に読んでいただきたい本。『食物過敏を防ぐために』

この本は、USバイオテック研究所の研究者であるゴードン博士が、アレルギーについて学びたい人に最適と教えてくれた本です。その中でも、特に、生まれてくる赤ちゃんとアレルギーとの関わりについて書かれた章を、これからママになる方、ママになったばかりの方にぜひ読んでいただきたいと思い、翻訳してご紹介しました。この本の他の章やこれ以外の本も、少しずつ翻訳を進めてご紹介していきたいと思います。

出典:
“FOOD ALLERGIES AND FOOD INTOLERANCE” - THE COMPLETE GUIDE TO THEIR IDENTIFICATION AND TREATMENT

著者:
Jonathan Brostoff, M.D., Linda Gamlin

  • この読み物は、上記の本の一部をアンブロシア株式会社が翻訳し、出典を明らかにした上でご紹介しています。あくまでも一般的な参考知識となることを期待して作成しており、記載内容や訳の精度を保証するものではありません。
  • この翻訳情報は、アンブロシアのサイトをご利用になるお客様のご参考となることを目的としています。私的な目的以外の無断のコピー・転載を固くお断りいたします。

食物アレルギーや食物過敏症には遺伝が関わっています。しかしながら、これは回避不能な病気ではありません。
少なくとも食物アレルギーに関しては、赤ちゃんが誕生したその年の環境がもっとも重要な要因となることについては明らかです。
子供が受け継ぐものはアレルギーにかかりやすい素因です。赤ちゃんが生まれた直後(もしかすると出生前)に遭遇する状況によって、彼らがアレルギーになるかどうかが決まります。自分の子供がアレルギーになりそうだと知っている親は、そのリスクを減らすために事前に手を打つことができます。
食物過敏症を防ぐ事例はほとんど明らかにされていません。しかし、誰かに食物への拒絶反応がある場合、その家族が同じ苦しみに会わないように、シンプルな対策を色々と考えてみる価値はあります。

アレルギーのリスク

子供がアレルギーを発症するリスクは、両親の健康面から推し量ることができます。
もし片方の親にアレルギーの兆候があった場合、その子供の20~35パーセントにアトピーの傾向があります。両親のどちらもがアレルギーを持っている場合には、その見込みは40~60パーセントに上がります。例えば両親がアトピー性喘息を持っているか、または夫婦ともに鼻炎(鼻水、鼻づまりなど)がある場合、両親の影響を受ける可能性は50~70パーセントになります。
両親ともにアレルギーではなかったとしても、どちらか一方がアレルギー性疾患の経歴を持った家族がいた場合、子供がその影響を受けるリスクは増加します。
しかしながら、アトピーの子供の約3分の1はアレルギーの兆候に全く気づいた事のない家族に生まれます。したがって、家族を観察することのみにより赤ちゃんのアレルギー傾向を予測することは、科学的とはいえません。
子供が産生するIgEの量を測定する(28ページを参照)検査を使うことで、より正確な予測が可能になります。IgEレベルは新生児から血液検体を採って測定するか、へその緒の血液を用いて測定します。高レベルであれば、その子がアレルギーを発症する可能性が高いことを示します。アレルギーに対する感受性を調べる最も良い方法は、T抑制細胞と呼ばれる免疫体のグループ、およびIgEのレベルを測定することです。その両方が高ければアレルギーの可能性は90パーセント以上となります。しかしながら、これらのテストは非常に精密な化学分析を必要とし、ほとんどの病院ではこのような検査を行っていません。
あなたのお子さんが過去に皮膚試験か特異的IgE検査(RAST)を受けた際、特定の食物に対して高いIgEレベルを示していた、ということがあったかもしれません。
このように陽性反応が出たにもかかわらず、それを食べても症状が見られない場合には、どうすべきでしょうか?
その事実を無視するようにとのアドバイスには、多くの専門家が否定的な見解を示しています。
このような子供たちがたいていの場合、徐々にアレルギー反応を示すようになるということも研究で明らかにされています。

食物アレルギーのための予防策

ここ(表10のまとめ参照)で予防策を述べる目的は、なるべく早い段階で子供のアレルギーの引き金となるアレルゲン、および他の要因への暴露を減らすことにあります。これらの対策は、食物に対する即時型(IgE媒介)反応と、喘息や湿疹などの遅い反応の両方に対して適用することができます。しかし一般的には、わずかな量の食物に対して敏感になってしまう即時型反応のほうが予防は難しいとされています。喘息、鼻炎、および湿疹の場合、アレルゲンの混合により発症する可能性があります。たとえば、食物アレルゲンの影響は、花粉などの吸入アレルゲンや皮膚接触アレルゲンによって悪化する恐れがあります。このような理由から、食物、吸入抗原、接触物のすべてを予防策に含むことが求められます。

表10 アレルギーのための予防策

これらの手段は、アトピー性(アレルギー)の家族に生まれた赤ちゃんにアレルギーが発生するのを防ぐ方法です。さらに詳しい明細については本章のテキストを見てください。

  • 妊娠している間は、特定の食物のみをとり過ぎることがないようにしてください。また、強力なアレルゲン(以下に記載)である食物を避けるのも効果的ですが、これが妊娠中に有益であるという確証はありません。赤ちゃんにとっては、母乳で育てている間、母親の食事をコントロールすることが非常に重要です。
  • 妊娠前にタバコをやめてください。子供が生まれた後は、家の中にタバコの煙を入れないでください。
  • できれば生後一年間は母乳で育ててください。 生後4~6カ月間は母乳だけを与えてください。
  • 母乳で育てることが困難な場合は、代替手段(粉ミルクなど)について医師に相談してください。
  • 母乳で育てている間、アレルギー反応を引き起こしそうな食物の摂取を避けてください。主な例としては、ミルク、卵、ピーナッツ、魚、貝、柑橘類(オレンジ、レモン等)、小麦、牛肉、および鶏肉等です。それ以外にも、上の子供のアレルギーの原因となったすべての食物も避けてください。
  • 4~6カ月後に、固形食を少量導入してください。ただし、上記に記載されたものは9~12カ月まで与えるのを控えてください。子供が3歳になるまではピーナッツは与えないでください。
  • 反応が判りやすいように、一つずつ徐々にこれらの食物を与えていってください。子供が病気のときには新しい食品は導入しないでください。
  • 初めの年は、毛のあるペットを飼育しないでください。また、チリダニの発生を最小限に抑え、換気によってカビの発生を防いでください。(86ページを参照してください)。 子供に感染症がある場合には、特別に注意を払って、アレルゲンを最小に抑えてください。
  • 可能な限り大気汚染に赤ちゃんをさらすのは避けてください。 ガスストーブを電気のものに替えるか、料理をしている間に台所を徹底的に換気してください。
  • 1歳になるまでは、不要な外科治療や抗生物質を避けてください。

母乳で育てる

赤ちゃんは免疫システムが完全に成熟する前に生まれてきます。最初の数ヶ月での感染から赤ちゃんを守るために、母乳には一般的なバクテリアやウイルスに対する抗体が含まれており、赤ちゃんの腸はこれらの抗体が血流に取り込みやすいようになっています。 腸の透過性が非常に高いので、まだ消化されていない食物分子までもが、年上の子供や大人よりもはるかに多量に血液に入っていきます。同時に、有害な免疫反応を制御する機能はまだ発達していません。特に、無害な抗原に対するIgEの生成を防ぐシステムはまだ有効ではありません。
赤ちゃんが最初の3、4ヶ月の間に取った飲み物や食物の大部分が血流に吸収されます。母乳のタンパク質に対する有害な免疫反応は、まだ明らかとなっていないメカニズムによって避けることができています。母乳アレルギーの赤ちゃんも存在しますが、非常に稀なケースです。おそらく、子宮にいる間に母乳タンパク質に対する耐性ができあがっているものと考えられます。
人工栄養で養育した場合や、生後3カ月以内に固形物を摂取した場合、赤ちゃんは血流に入る大量の異種タンパクにさらされ、これらがアレルギー反応を引き起こす可能性があるということが証明されています。母乳しか与えられていない赤ちゃんですら、完全に安全ではありません。母親の食事からのタンパク質が腸から吸収され、母乳に入るためです。その量が微量であっても、これによってアトピーの子供が過敏になることに疑いの余地はありません。実際に、牛乳への最も激しい反応は、出生後に人工栄養で育てられた子供よりも、母乳を介して過敏になった子供に見られます。一見したところ、人工栄養を与えることを正当化しているように思われるかもしれませんが、上記のような激しい反応はごく稀なことであり、その一方で、人工栄養から生じ得る、さほど強くなくとも非常に厄介な症状の方が、はるかに広範囲に発生していることを心に留めておいてください。
通常、高リスクの赤ちゃんの両親に対しては、生後4~6カ月間は母乳のみ与えることが勧められます。したがって、離乳は非常に緩いペースで行い、子供が1歳になるまでは母乳を与え続けることが望まれます。母乳に含まれる栄養が赤ちゃんにとって十分であれば、固形食の摂取量は非常に少なく済みます。さらに、母乳に含まれる要素が、新しいアレルゲンに対して適切な反応をするための有用な情報を赤ちゃんの免疫システムに与えていると考えられています。
新しい食物を取り入れる場合は、アレルギー反応を起こす可能性の低いものを最初に与え、最も頻繁にアレルギー反応を起こす食品は当分のあいだ与えるのを控えてください。問題となる主な食物は、卵、ミルク、魚、貝、ピーナッツ、小麦、ライ麦、大麦、ナッツ(ピーナッツおよびその他)、大豆、柑橘類、そしてチョコレートです。牛乳や卵と同じアレルギー誘発性タンパク質を含む牛肉や鶏肉もメニューから外しましょう。世界保健機関によって設立された特別調査委員会はアレルギー反応を起こしやすい食べ物を子供が一歳になるまで、ピーナッツにおいては三歳まで与えるべきではないと提案しましたが、6~9カ月間避ければ十分であると認識する医師もいます。
拒絶反応がどの食物によるものかを判断するため、新しい食べ物を導入するときは徐々に一つずつ与えてください。感染症や下痢が見られるときはより敏感になっているため、子供が病気のときは新しい食物を取り入れるべきではありません。
食物の分子は母乳に入っていくため、授乳中の母親自身の食事にも気を付けることが大切です。卵、牛乳、ピーナッツ、および魚類は避けるべきであり、特に赤ワインなどのアルコール類も制限するべきです。また、大豆、ナッツ、柑橘類、小麦、大麦、およびライ麦を避けるのも有効かもしれません。ミルクを除去する場合には、カルシウム不足を補うためにグルコン酸カルシウム錠を処方してもらったり、量を制限しながらヤギ乳や羊乳を摂ってもよいでしょう。
上の子供が特定の食物に対して高度のアレルギーを持っている場合には、同じ食物を母親の食事から除き、新生児が一歳になるまでは与えるべきではありません。
もしこれらの制限があまりにも負担になるのであれば、食べる量を減らすか、制限しない日を何日間か設けてください。重要なことは、可能であれば6か月間母乳で育てることなのです。母乳養育をやめることにつながるものは良いアイディアとはいえません。最良の方法は、母乳で育て、あなたの食事から高リスク食品を排除することです。しかし第二の策を練らねばならない時もあります。もし食事制限がとても面倒になり、始めてから2~3カ月後に授乳をやめたくなったとしたら、授乳ではなく食事制限の方をやめてください。

産科病棟

皮肉にも、赤ちゃんの口に母乳以外のものが絶対に入らないようにすることが最も難しいのは、産科病棟かもしれません。補足的に食べ物を与える習慣が一部の病院ではまだ一般的ですが、生後数週間は大変有害です。このような補助食に用いられるのは、牛乳から作られる乳児用粉ミルクです。敏感な赤ちゃんの場合には、乳児用粉ミルクがアレルギーを誘発することがあります。生後間もない赤ちゃんは異種タンパク質による感作に非常に脆弱です。ある調査では、1,700人以上の赤ちゃんのうち、1,500人が補助食を与えられ、200人が与えられていませんでした。1700人の中で牛乳のアレルギーが見られた39人はすべて補助食を与えられた赤ちゃんでした。
また、補助食を与えていたために、のちに人工栄養しか飲ませることができないようになってしまうという潜行性の影響が起こる場合もあります。人工栄養による補助食は授乳期の母親と赤ちゃんの間にできあがっている需給の微妙なバランスを崩してしまいます。ゴムの乳首は本物と異なって働き、人工栄養を与えられている赤ちゃんは乳首をきちんとしゃぶらなくなってしまうことがあります。赤ちゃんの食欲が減退して乳首をそれほど一生懸命しゃぶらなくなると、母親が作り出す母乳の量も減ってしまいます。これが悪循環を生みだした結果、母親の母乳が足りないのだということになり、また補助食が必要だと言われてしまうことになるのです。
夜間、赤ちゃんを母親の元に置かない方針の病院では、看護婦が哺乳瓶で母乳を与えられるように搾乳し保存することができます。
母乳での養育が現実的でない場合には、家庭でこの方法を応用することもできます。

母乳養育に備える

赤ちゃんを母乳だけで育てたい場合には、あらかじめ準備をしておく必要があります。母乳養育は自然なものであるから、母乳も自然に出ると思われがちです。残念ながらこれは真実ではなく、適切な授乳法を教えられていなかったり、乳首に痛みを伴ったり、その他の問題を抱えることによって、多くの母親があきらめてしまいます。妊娠している女性は、乳頭の皮膚を強化し、授乳に備えなくてはなりません。妊娠中期に入ったら、まずは1週間毎日そっとタオルで擦ようにします。その後、段階的に荒い布、柔らかめの歯ブラシへ進み、最終的に堅いブラシで行ってください。これが乳頭亀裂に対する最善の保険となります。母乳養育に関するその他のアドバイスは、454~455ページ記載の組織から入手できます。
病院に行く前に、夜間授乳と補助食に対する方針について問い合わせましょう。
あなたの赤ちゃんには母乳以外のものは何も与えて欲しくないことを看護婦や医師、助産婦に明確に伝えてください。必要であれば、同じことを書いた紙をベビーベッドに貼っておきましょう。母親は常に起きているわけではありませんし、看護婦の中には哺乳瓶を赤ちゃんに与えるのが大好きという人もいるのです。また、あなたが赤ちゃんの要求に応じて母乳を与えられるかどうか尋ねてください。これは時間で管理されたシステムより、はるかに母乳養育への助力になります。あなたと赤ちゃんとの間に良い関係を築くため、生後4時間以内に母乳による授乳を始めます。赤ちゃんか母親が具合悪い場合などもありますので、いつでも可能であるというわけではありませんが、できるだけ早く赤ちゃんを手元に置きたいという要望は伝えておきましょう。
母乳養育が何らかの理由により不可能になったとしても、罪の意識を感じてはいけません。一般的な粉ミルクよりアレルギーの危険性の少ないミルクを選ぶという代替手段があります。これは加水分解産物(275~276ページ参照)として知られている混合物で、処方してもらうことができます。
大豆(275~276ページ参照)から出来た粉ミルクも、牛乳に敏感な子供たちに頻繁に使われます。これは加水分解産物より安価なために処方される傾向があり、牛乳による過敏症を取り除くためにも非常に効果的な場合があります。しかしながら、アレルゲンとして知られている大豆タンパク質へのアレルギー反応という危険性が常に伴います。これは母親が大豆を摂取していた場合に最も可能性がありますが、大豆粉は多くの食品に見えない形で含まれているため、摂取していない母親はおそらくいないでしょう。アレルギー予防の観点からすると、必ずしも大豆から作られた粉ミルクが一般的な粉ミルクよりも好ましいということはなく、最も望ましいのは加水分解産物のミルクであるといえます。
長期の母乳養育と、慎重かつ段階的な離乳が新生児のアレルギーの危険性を減少させる最も重要な要素であるということにはほぼ疑いの余地はありません。より一般的な利点である感染防止と同様、母乳養育が食物不耐性を減らすということも十分に考えられます。可能な限り長期にわたって母乳を与えることは、すべての子供のプラスになります。 (最近の研究では、母乳養育がより高いIQ、より少ない肥満につながることが示されました。) 国家の保健医療政策の問題として、母乳養育に対する多くの障害と支障を取り除き、世界保健機構が推奨しているように、産科病棟における人工栄養の利用増加を食い止めることが求められます。

妊娠の間の予防措置

胎児は母親の血液から栄養を与えられますが、母親と赤ちゃんの血液が混ざり合うことはありません。
代わりに、母親と胎児の血液は胎盤という組織の中の細い血管(毛細血管)を通っています。
母親の血液を運ぶ毛細血管は、赤ちゃんの血液を運ぶ血管に沿っていて、ブドウ糖や酸素などの生命維持に必要な物質は毛細血管壁を通して移動します。
以前は未消化の食物タンパク質などの大きい分子は血管壁を通過することができないと思われていましたが、そうではありません。実際にはそのような食物分子により、高リスクの赤ちゃんは生まれる前から過敏になってしまうのです。
このことを踏まえ、一部の医師は子供にアトピーの傾向がある女性は妊娠中に食事制限すべきであると考えています。しかしながら、この考え方に否定的な研究結果もいくつか出ています。妊娠中の食事制限は簡単ではありませんから、不確実な利益のために制限をする価値はないかもしれません。しかし、既に重度のアレルギーを発症している子供がいる場合などには、高アレルギー反応の食物を除去してもよいでしょう。除去するものには牛乳、卵、ピーナッツ、魚、小麦に加え、前の子供がアレルギー反応を示した食物も含めます。十分に栄養を摂取できるよう、必ず医師に相談してから行ってください。おそらくカルシウムサプリメントも必要になるでしょう。
食べ物は多く摂取するほど多く血流に取り込まれます。このため、妊娠中に一種類の食物を大量に摂取することは、アレルギーの素因を持つ赤ちゃんにとっては有害となります。科学的に立証されてはいませんが、妊娠中あるいは母乳の授乳中に暴食をしないことが賢明な予防策であることは明白です。
妊娠中の喫煙は胎児にさまざまな有害な影響を与えるだけではなく、アレルギーのリスクも高めます。妊娠前に禁煙し、次のセクションを参考にしながら赤ちゃんが生まれた後も煙のない家を維持することをお勧めします。
また、妊娠中の過剰な体重増加も子供のアレルギーリスクを高める要因となります。

きれいな空気

生後一年の間に多くのアレルゲンにさらされるほど、アレルギーを発生する可能性は高まります。その中でも、最初の3カ月間は極めて重要です。
高リスクの子供にとっては、空気中のアレルゲンは食物アレルゲンと全く同じくらい影響力があり、主要なものへ暴露を抑えることによって、将来喘息や鼻炎になるのを回避できるかもしれません。
主要な室内アレルゲンは、ハウスダスト、ダニ、カビ、動物の皮膚のかけらです。
これらを排除する方法は85-87ページにあります。赤ちゃんが1歳を迎えるまでに湿疹やその他のアレルギーの兆候が見られないようでしたら、室内でペットを飼っても大丈夫でしょう。しかし、症状が出現するまでには時間がかかることがあるということも気に留めておいてください。
花粉も重要な空気中のアレルゲンです。温暖な気候の地域でしたら、冬生まれの赤ちゃんが最も花粉症を回避できる可能性があります。
一方または両方の親が花粉症患者であるならば、このことを踏まえて家族計画を立てる価値はあるかもしれません。
アレルゲン以外にも、アレルギーのリスクを高める様々な非特異性の刺激物があります。その例として、タバコの煙や産業大気汚染が挙げられます。スウェーデンでの研究では、非工業化された地域に住む子供と比べ、製紙工場の近くで暮らす子供たちに喘息と花粉症がより多くみられることがわかりました。親がタバコを吸う家庭の子供や、排水が十分でない土地に建てられた家に住む子供たちにもアレルギーがより多くみられました。この原因は家の中のカビであると研究者はみています。喘息と花粉症のリスクが最も高かったのは、カビのアレルゲンと汚染工場の煙霧、タバコの煙にさらされた子供たちでした。
RSVと呼ばれるウイルスによる喉や肺への感染もまた、アレルギー反応を誘発することがあります。このウイルスはその領域で免疫細胞に影響を及ぼし、IgEが産生されやすくなります。もちろん全ての赤ちゃんは風邪と咳にかかりますし、RSVによる風邪はそのうちのわずか10分の1です。
このような感染を避けるのは難しいですが、RSVに対するワクチンが数年以内に利用可能になれば、アレルギーの傾向がある家庭の子供たちにとっては間違いなく有効でしょう。RSVと対照的に、他のタイプの感染症は免疫システムからアレルギー反応を遠ざけます。無害な土壌中の無害なバクテリアによる感染がこの好例であり、頻繁に外で遊ぶ汚れた子供が常に清潔にしている子供より喘息にかかりにくいということも説明がつきます。
また、激しいストレスも敏感な子供のアレルギーを誘発する可能性があります。生後一年間は、重度の病気や手術がそのようなストレスのひとつとなるため、不必要な外科手術を延期するのがベストでしょう。

バランスの取れた保護

残念ながら、これらの予防策のいずれも確実なものではありません。中には、何をしてもアレルギーを発症してしまう子供もいます。したがって、アレルゲンや刺激物から子供を守るためにできる限りのことをしながらも、それらをすべて防ぐのは不可能であるということも受け入れる、冷静な姿勢が非常に重要です。何をおいても、心配のし過ぎはよくありません。子供たちは、この世が危険に満ちているのではなく、安全で快適な場所であると感じる必要があります。あなたの不安が見え見えでは、子供にとって精神的な害悪となるかもしれません。
子供が一歳の誕生日を迎えてからは、増感の危険性ははるかに少なくなり、あなたはゆったりとアレルギーのない子供を育てることができるはずです。明確な必要性がない場合には、(例えば子供が明らかにイエダニに反応したとすれば、それらと戦い続けなければならないでしょうが、)それまでの基準を少し下げてみてもよいでしょう。
子供がアレルギーを発症したとしても、原因を確実に知ることはできませんし、推測することは無意味ですので、自分や誰かを責めたりはしないでください。あなたがこれまでの苦労を経ていなければ、子供のアレルギーはもっとひどかったかもしれないのです。既述のスウェーデンでの研究からも、様々な危険因子が積み重なることによってさらに大きなリスクが生まれることが証明されています。あなたの予防策は間違いなく増悪因子を減らし、病気を軽減したのです。

食物不耐性の予防

これまでに述べてきた食物アレルギーの予防対策の大部分は科学的な試験に基づいています。
食物不耐性は食物アレルギーに比べ認識されていないため、研究のための資金提供ははるかに少なく、匹敵する研究も行われていません。
私たちがここで勧める予防策は一般的なものであり、どのような要素が食物不耐性を引き起こす可能性があるのか、という理解に基づきます。
家族内で既に食物不耐性を示している人が一人でもいる場合には、現在は健康だとしても以下のガイドラインに従うことは有益でしょう。

食生活と薬品

食物不耐性を引き起こす常習犯は日常的な食品がほとんどですので、食事に変化を持たせることをお勧めします。
特に、牛乳と小麦は除去するか、摂取を1日1回に制限するようにしてください。卵、オレンジジュースおよびピーナッツなどの高リスクな食物も摂取を避けてください。特定の食物を一度に多量に摂取しないでください。ソーセージの大食い競争はあなたのためのものではありません。
コーヒー、紅茶、緑茶は飲む回数を減らし、薄めのものを飲んでください。カフェインの害は213-14ページで紹介していますが、どちらの飲み物も胃内壁を刺激したり、生体の化学反応に変化を引き起こす様々な化学成分を含んでいます。
過剰なアルコール、非常にスパイスをきかせた食べ物、生のパイナップルやパパイアなど、腸壁の浸透性を増加させるものは全て避けてください。また、アスピリンやその他の類似薬物(非ステロイド性抗炎症薬; pages443-45を参照)も浸透性を増加させます。これらは主に慢性関節リウマチ、骨関節炎、生理痛および頭痛の治療に使用されます。本当に必要な時にだけ使うようにしましょう。

他の要因

食物不耐性の引き金となると思われるものに、有毒化学物質への濃厚な暴露が挙げられます。
もちろん、そうした暴露は通常は偶発的なものですが、回避可能なものもあります。
白アリを根絶するための殺虫剤や、湿気や乾腐病のための殺菌剤などを家に撒くことになっているなら、煙霧が消散するまで少なくとも1週間は家を空けた方が賢明です。スプレーをする業者は、そんな必要はないと主張するかもしれませんが、あなたが噴霧に直接さらされなかったとしてもスプレーが原因で将来病気になるという危険性があるかもしれません。
煙霧は家中至る所を伝わりますから、たとえ部分的なスプレーであってもしばらく他に滞在する所を見つけたほうがよいでしょう。幼児にとってこれは非常に重要です。
その他に避けることができる危険は、農作物に使用される農薬への暴露です。田畑が噴霧されており、特にそれが飛行機によって撒かれている場合には近づかないようにしてください。煙霧は容易に漂流します。
できれば大きな農地使用地の近所には家を買わないでください。
庭への噴霧も避け、家庭用の化学製品の使用を最小限に抑えてください。(228ページを参照)
最後に、付録5に記載された健康対策は、食物不耐性発症の危険性があるすべての人に推奨します。とりわけ頻発する頭痛、長引く消化不良、またはしつこい疲労などの症状を無視しないでください。アスピリン、酸中和剤または濃いコーヒー等の常用は問題を悪化させるだけです。また、重篤な食物不耐性もこのような症状から始まり、段階的に悪化することがわかっています。初期段階の軽度の食物不耐性のほうが、頑固な症状や複合的な過敏性よりも簡単に治療できます。長く放置すればするほど治療が難しくなるかもしれないのです。