米国の子供約600万人に食物アレルギーが影響を及ぼしている可能性

(2011年6月20日 ロサンゼルス・タイムズ紙にも掲載:http://articles.latimes.com/2011/jun/20/news/la-heb-food-allergy-children-20110620

米国の小児科専門誌「ピディアトリクス」で2011年に発表された研究で、食物アレルギーが米国のかなりの数の子供に影響を及ぼしていることが示されました。これは18歳以下の子供が一人以上いる4万家庭を調査するという大規模なもので、集められたデータに基づき、研究者らは米国の子供の8%(約600万人)が食物アレルギーによる影響を受けていることを見出しました。これらの子供のうち、30.4%が複合的な食物アレルギーを持ち、38.7%は過去に重篤な反応を経験していました。調査でもっとも多く報告されたアレルギーはピーナッツ(25.2%)、牛乳(21.1%)と甲殻類(17.2%)でした。

食物アレルギーの有名な特質は、問題となる食物のタンパク質またはエピトープに対するIgE抗体の産生です。この種のアレルギーは、皮膚、消化管、気道内の組織肥満細胞と好塩基球と結合した食物特異的IgE抗体が、体内を循環する抗原と接触、結合したときに発現します。この結合により、細胞はヒスタミン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、サイトカインを含む炎症伝達物質を放出します。アレルギーに関連する不快な症状(胃痙攣、下痢、嘔吐、蕁麻疹、そう痒、腫れ)の多くはこれらの合成物が原因であり、ごく微量のアレルギー誘発性食物に暴露しただけでも反応が引き起こされることがあります。

食物アレルギーは複数の免疫機序によって引き起こされている可能性があります。典型的なタイプⅠはIgEによって媒介される即時型の反応で、喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーとの密接な関係のために最も徹底的な研究がなされてきたアレルギーです。タイプⅠアレルギーの多くのケースで複数の抗原に対する血清IgEの上昇がみられます。さらに、IgE媒介アレルギーは潜在的に致命的なアナフィラキシー反応を誘発することがあるため、特に重要であるといえます。

食物アレルギーの有病率は、全ての年齢層にわたってここ最近10年から20年の間に著しく増加しているものの、この傾向の理由は明らかとなっていません。アレルギーの発現には遺伝子が影響している可能性があり、アレルギーを持つ両親の子供はアレルギーになりやすいと言われています。しかし、もちろんこのことだけでここ数十年の流行性の上昇を説明することはできません。アレルギーは遺伝、栄養、免疫、環境曝露(抗原性反応を高めるタバコの煙や汚染物質など)の複雑な相互作用の結果として生じます。

医師がスクリーニングや治療を適切に行うためには、信頼できる臨床検査が不可欠です。


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